10月下旬、すかんちのメンバー:ドクター田中が亡くなったという報道があった。
最後に演奏するドクターを、すかんちとしてのドクターを目にしたのは2018年に新木場Studio Coastで開催された、SPARKS GO GO主催のSHINKIBA JUNCTIONだった。
ドクターもなかなか情報の少ない人で、ミュージシャン仲間や関係者のツイート、ブログで言及された時くらいしか近況がわからなかった。
DVD化されているすかんち復活ライブ(AMAZING SCANCH)内のMCやインタビューでは
「ROLLYが"まだまだ行くぜ"というたびに(みんなはいいけど僕はあと1年・・・)と思っていた。(このDVDの)収録でも弱気なことを喋ってしまった。でも今日やってみて、まだまだイケるわ。みんないなくなっても僕一人でもすかんちやってるわ」
的なことを話していただけに・・・。
5ch (2ch)を初めネットで散見される情報から察するに体調自体は万全でないことが伺えたが(先述のDVDでは「Shima-changとは違うけど、僕も脳内出血で倒れていた」と語っていた)、あまりにも突然の訃報で残念でならない。
ご冥福をお祈りいたします。
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9月末に発売された、DVD:ROLLY's ROCK LIFEを観ました。
2019年2月に、「これまで発表したシングル・アルバム・提供してきた楽曲の中から」「ROLLY一人、アコギ一本」で演奏するテーマのもと実施されたライブの模様。
ROLLY好きな人なら、(これは言わずもがなだが)洋楽が好きな人ならば一見すべき内容でした。
<<収録曲>>
01 スローソンの小屋(すかんち/1990年)
02 Honey(すかんち/1990年)
03 恋のT.K.O. (すかんち/1990年)
04 恋のショック療法(すかんち/1990年)
05 恋のローリーローラー(すかんち/1991年)
06 Song for a week(すかんち/1991年)
07 怪傑!笑い仮面(すかんち/1991年)
08 恋のローラースケート(すかんち/1992年)
09 甘い誘惑(THE MANJI/2008年)
10 あなたが好き(ROLLY/2009年)
11 歯ぎしりが止まらない(THE MANJI/2009年)
12 奇妙な隣人(THE MANJI/2009年)
13 ROLLY HORROR SHOW(すかんち/1993年)
14 Mrタンブリンマン(すかんち/1993年)
15 恋は最後のフェアリー・テール(すかんち/1994年)
16 うそつき天国(すかんち/1994年)
17 21世紀のラヴァーズ(21st Centry Stars/ 1996年)
18 宇宙のMON DIEU(MEG/2013年)
19 そら豆の詩(ROLLY/1993年)
20 アヴェマリア
発売直前、スタッフTwitterからは完奏しきっていないいない曲もあるのでご了承ください、と事前告知があったが、ROLLYの特にソロライブに足を運んだことがある人ならわかるように、MCで話に花が咲き(おそらく本来のセトリにはないであろう)曲の演奏が始まったり、それ起点のセッションが本編への導入になったり、ということが多々あるので、そういうことだろうなと思っていました。
<ROLLY'S ROCK LIFE DVDについて特殊なお知らせ>
— ROLLYスタッフ (@ROLLY_STAFF) September 19, 2019
20曲のクレジットがされているのですが、楽曲を最初から最後までやりきってる曲と、1番で終わってる曲、間奏まで、など途中で終わってる曲がございますので、予めご了承の上お買い求めくださいませ。※そのため本作品は一切カットせず編集・収録 pic.twitter.com/EsxrPokvAY
例えば1曲めのスローソンの小屋。
アコギ1本ながら、DADGADチューニングで登場。
この曲の元ネタのひとつがLed ZeppelinのBlack Mountain Sideであるように、もはや"スローソンの小屋"としての演奏より、元ネタのほうが割合的には多いような。
今や日本のアーティストでここまで大々的にDADGADを弾きこなす、演奏する、をやっているのはROLLYだけじゃなかろうか。
ここから、すかんち楽曲が続いていきますが
「自分の曲は演奏し飽きているから」
「(楽曲リストは山のようにあるが)時間的に・・・」
と演奏しきる曲もあれば1番だけ、途中まで、の曲もある自由な構成。
中には演奏途中に解説が入ったり、「このコード進行がいいんだよね〜」みたいな語りが入って中断したり、一筋縄ではいかないなと思った。
そんな中、すかんちファン、ないしROLLYファンならではの楽しみ方ができるのが今回のライブ。
スローソンの小屋がほぼBlack Mountain Sideだったように、元ネタ、オマージュ元を明かしながら演奏していくROLLY。
例えば、
恋のT.K.O:TIme After Time
恋のショック療法:恋のピンチヒッター(Substitute)
Mrタンブリンマン:Love of My Life(これは今回用の演出かな)
恋は最後のフェアリー・テール(Romeo)
というようにワンコーラス、ワンフレーズを交えながら歌うことで合点いくファンも多いと思います。最も、すかんち、ROLLY楽曲は大滝詠一ばりに複数の曲の要素が絡んでいるから見つけきれていない元ネタが多いけれども。
また、純粋にすかんちファンという目線で楽しいライブでもある。
恋のローリーローラー、Song for a weekのような近年の復活ライブ、ソロライブでも滅多に演奏されない曲もレパートリーに加わっているのは嬉しい限り。
ただ、どれを演奏しても最近のお気に入り曲=おじさんのブルースに繋がる展開、フォーク感があるのは、ROLLYの根底に吉田拓郎がいるからなんだなあと感じた。
すかんちとして披露できる楽曲、そもそも機会は今後多くはないかもしれないが、こういうかたちで演奏してくれるのはとても嬉しい。
ソロでなくとも、Drの小幡ポンプ + ただすけ からなる"ポンすけ"にROLLYが合流したロリポンすけ(2012-3年頃にやったきりになってしまった) としてでも、またすかんち楽曲は日の目を浴びて欲しい。
ROLLY楽曲中心なので、恋人はアンドロイド はないけれど、恋のT.K.O「バスに乗った〜」のドクターパートを歌うROLLYを観られるROLLY's ROCK LIFEは必聴・必見ものです。