物書きのリハビリ

文章の練習と備忘録

オンライン料理教室開催を振り返って

おいしい中央アジア教会では、中央アジア料理の認知のためイベント出展のほか、料理教室も開催しています。

貸しキッチンやスタジオを借りて開催することが多いため、例に漏れずリアルな場での実施が難しく、2020年上半期のイベントはキャンセル・延期状態でした。

そこで私が得意としている「パフラヴァ」(中央アジアやトルコなどで広く食べられるお菓子)を題材に、オンライン教室をトライアル的に開催してみたので所感を書き残しておこうと思います。

実施概要

・使用ツール:Zoom

おいしい中央アジア協会メンバーのみでのクローズド開催

・主催者(私)側は顔の映るメイン画面(PC)+手元を映す画面(スマホ)の2画面表示

・材料、調理器具はイベントページに記載し、参加者には必要なものをあらかじめ用意してもらう

リアルな場でのイベントでは主催者が全員分の材料を用意し、会場の調理器具を借りて進行していましたが、オンラインでは各々が事前用意。

メイン画面で調理工程を説明しつつ、状況に応じて手元カメラを動かして作業イメージを共有する方法で進行していきました。

良かった点

・BGMを流す

・2画面表示

・参加者の進捗確認、ケア

会議でもオンライン飲み会でも盛り上げツールとして背景画像・仮装背景は誰もが意識・導入していますが、講義・料理教室のように主催者から参加者への単方向コミュニケーションになりがちな形態では、BGMが雰囲気作りに一役買っていました。これは副産物的な発見ですが、邪魔にならない程度の音量でBGMを流しておくことで通信が停止している?が参加者目線でわかりやすかったようです。ずっとしゃべり続けるならともかく、集中して作業に取り組む際は無口になりがちですが、BGMがあることで「(回線がつながっているから)話しかけても大丈夫だ」という目印になることがわかりました。

ちなみに中央アジアと全く関係ありませんがChet Atkinsを流していました。音量的にも音質的にも声を邪魔せず、2時間ほどのアルバムなので料理教室の開催時間とちょうどぴったりでした。

2画面表示することで、主催者の顔が見えながら説明を聞けるという透明性・安心感と同時に、オンラインだとどうしても不安になる作業イメージを、手元を投影することでスムーズな進行にすることができました。個人の家庭でどこに2デバイス置くか?は課題になりますが、事前に掃除・整理してスペースを作っておいて良かったです(主催者のキッチンが清潔であることも、参加者目線で安心材料になったようです)。

また主催者は自分の手元を映せる一方で、参加者それぞれがどのような進捗かは細かくケアしていく必要があります。ひとつ説明しただけで進められる慣れた人もいれば、細かく説明して一歩ずつ一緒に進んでいくほうがやりやすい方もいます。リアルな場では一人一人を見ながら進行できますが、オンラインでは声がけしつつ、質問があればすぐ主催者に聞ける環境づくりも重要です。参加者側がマイクをオンにできない事情があれば、チャットや「手を挙げる」機能で意思表示できる機能のあるツールを選ぶことも解決法になります。開始前に、調理工程をひととおり説明し、この作業の次には何をするかを参加者にイメージさせることも効果的ですね。

改善点

・事前準備には細かい指示出しをする

・レシピの共有方法

・待機時間の小ネタ

材料や調理器具は事前に書いておいたとは言え、準備は参加者側のタスクになります。ここで注意しないといけないのが、ちゃんと目線を合わせてあげること。料理全般と言わずとも、例えば今回の「パフラヴァ」の材料のひとつのナッツ(クルミ)。個人的には「クルミは素焼き」という脳内イメージを持ってしまっていますが、人によっては生タイプやおつまみコーナーの塩味付きを用意してしまう可能性もあります。事前準備段階では細かすぎるくらいに「素焼きのクルミを用意」のように記載しておくことも、実際の場で誤解・クレームなく進行できます。

また今回のお菓子作りではオーブンを使いますが、必要な調理器具に「オーブン」と書いておくことも大事。オーブンくらいあるのでは?と普段から料理する人は思いがちですが、当たり前なものでもあらゆる場合に備えて必要なものはすべて細かく、を鉄則に記載するべきです。過去、友人に頼まれて作りに行った際に友人宅にはコンビニにあるような温め機能だけのレンジしかなく途方にくれたことを思い出しました。

これは私のうっかりですが、レシピの共有を失念していました。リアルな場ではプリントアウトしてレシピを全員に配って、必要な時に見直してもらえるようにするのですが、オンラインだといつレシピを渡すかがキモです。事前に配布してしまうと参加しなくても作れるからいいや、そもそもの参加者を減らしてしまうことも考えられます。今回の2画面のうち、主催者の顔を映すメインスクリーンもある意味スタート時の挨拶で「私が主催者ですよ」とお見せすればそのあとの興味は調理工程なのですから、レシピを投影してあげるべきですね。(背景をレシピにしたら?という妙案フィードバックがありました。「黒板が見えない!」と言われる学校の先生の気分を味わえそうです)

これは料理教室に限りませんが、オンラインMTG主催者は思った以上に孤独感を味わいます。リアルな場なら表情・態度・声など様々な情報を読み取れますが、オンラインは基本的に画面・マイクOFFなので、思わず参加者が発言したくなる雰囲気作りも主催者の仕事です。特にパフラヴァでは15-20分ほどオーブンで焼き上がりを待つ時間があります。この間に「中央アジアっておもしろい・行ってみたい」「他の料理を食べてみたい」「パフラヴァって現地ではどんな食べられ方なの」といった興味喚起・質疑応答をする話ネタをもっと用意せねば、と思いました。

 

初めてのオンライン料理教室の開催でしたが、参加者のみなさんも綺麗に焼き上がり、おいしいパフラヴァを完成することができました。

一時期に比べ落ち着いたとはいえ、3密を避け、予防対策を徹底されることに変わりはありません。従来型のリアル料理教室に代わり、おいしい中央アジア教会でもオンライン形式でイベント開催をしていくはこびになりそうです。その第一歩として、良い経験になりました。

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パフラヴァ。菱形に切る工程は参加者の個性が出、盛り上がるポイント