歌謡曲でも、EDMでも、ポップスでも、毎日音楽の海へ航海に出て最終的に帰ってくるのはシンプルなギターミュージック。
ギターが好きだから、シンプルな構成のほうが良い。
スリーピースなのに3人であることを感じさせない音の厚みがあるなら、なおさら良い。
そこで改めて良いなと思ったのがLos Lonely Boys。
メキシコ系のテキサス出身3兄弟からなるスリーピースバンド。
この"Heaven"という曲、人並みだが上品なコーラスと美しいストラトサウンドがとても心地よい。
何年か前にテレビの天気予報か何かのBGMでも使われていた。正確には3人分以上の音が鳴っているけど、ライブでは3人。
スタジオ版だと綺麗にまとまっているけれどライブは情熱的。
テキサス出身、ハーフダウンチューニングのストラト、ブルースノートを織り交ぜたソロ。
この3つのキーワードが並べば気付く人も多いと思うが、スティーヴィーレイヴォーンの影響がとても強い。
先の"Heaven"はグラミー賞を受賞しているほどにポップさが目立つけど、ライブではSRV味が聴いていて、ギター小僧を飽きさせない。
メキシコ系だけあって、時折差し込まれているエスパニョールのリリックが爽やかな曲調に熱を帯びた風も感じられて、やっぱりちょうど良い。
メキシコのギターサウンドとなれば、素人も玄人もサンタナの顔が思い浮かぶ人は多いと思う。
これぞラテン!カルディで流れてるゥー!って感じの音。
もちろんLos Lonely Boysにも、3人での再現性が優先されているからかパーカッションの登場はないけど、言うなればラテンブルース、もしくはスパニッシュブルースと言ったところか。
"哀愁のヨーロッパ"を彷彿とさせるギターインストもある。
SRV meets Santanaを思わせるブルース。
事実、ライブではSRVの曲をレパートリーに取り入れたり、"サンタナ"との曲もリリースしている。
こうしてふたりのギターを鳴らし並べられると、個人的な好みは太くて甘いサンタナの音だな、いやヘンリー(Los Lonely Boys)のソリッドな音も物悲しさを際立たせているな、などと聴くたびに異なる印象を抱く。
テキサスブルースという観点からSRV。
ラテン、メキシコという観点からサンタナ。
偉大な2ギタリストの影響を交えながらLos Lonely Boysについて紹介してみたけど、印象は表題の通り、「ちょうど良い」。
SRVのようにブルージー過ぎず、サンタナのように楽器パートが長過ぎず(ライブや映像で観ると楽しいものだが耳だけで聴いてる時はね。。)、ちょうど良い。
無責任な言葉でいえば「おしゃれ」だし、コーラスは美しく、退屈しない程度にギターの魅せどころ・聴かせどころがある。
この手の音楽が初めてなら"Heaven"がBGMとしても、ギターミュージックとしても易しく、もっとギターが聴きたいならば"Onda"のような曲のあるLos Lonely Boys はやっぱりちょうど良いのだ。
また日本に来てくれないかな。