物書きのリハビリ

文章の練習と備忘録

一足先に中世のクリスマス料理をいただく

クリスマスは毎年訪れるが、毎年チキンばかり食べていてもつまらない。

 

ということで、音食紀行さん、コストマリーさん主催の中世のクリスマス料理会に行ってきました。

 

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Twitterで世界の料理を、「時代」までさかのぼって再現する活動を行なっているアカウントを見かけたのがきっかけ。

 

onshokukiko.com

 

そして、西洋中世に限定してイベントを行なっているコストマリーさんとの共催。

 

 

今日は都内のキッチンスタジオでの開催でした。

30人ほどの参加者、キャンセル待ちが出るほどだったようです。

会場に到着すると豚の頭がお出迎え。

 

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日本で買うことのできる食材で中世の料理を再現してくれるそうです。

メニューは以下の通り。

 

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まずいただいたのは、「フェンネルとフルーツのサラダ」、「レンズ豆とラム肉のスープ」。

 

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サラダは見た目からもわかるように、リンゴ、洋ナシ、オレンジにヨーグルトを和えたフルーツサラダ。

特徴的だったこととして、ガランガーという香辛料が入っていたこと。

生姜のようなもので、いかにもスパイスといった風味。甘みのあるフルーツに対し、辛みを感じさせるガランガーは良いアクセントになっていました。

 

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ラム肉のスープは音食紀行さん曰く、過去提供して最も評判が良かった料理とのこと。

 

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これは満場一致で「美味しい」でした。

なかなかラム肉って食べる機会がないお肉ですが、くさみもなく、煮込んでいるだけあってとても柔らかい。

ぱっと見、特別な調理法が必要そうなのに今回の料理の中では手間がかからない部類に入るらしい。確かに手順を伺ったところ、時間がかかるだけで「煮込む」のが中心作業ということもあり、食材さえ手に入れば自分でも再現してみたいと思った。

 

歴史再現イベントという性質上、参加者も主催者も当時の文化への造詣が深い。

 

・蝋燭がもったいないから、中世ヨーロッパの宴会は夜ではなく昼間から始まっていた

・会場(テーブル)からキッチンまでの距離がかなりあることから、運搬中に料理が冷めてしまうということは多々あった

・調理担当には階級があり、監督指示するだけの立場の人もいれば、肉を切る担当(それもかなり地位が高い)だけの人もいた

・当時の人々の1日あたりの摂取カロリーは農民で3,500kcal、修道士で6,000kcalほどであった。主な要因として、現代以上に肉体労働(自動車もなければ電子レンジのようなものもない)が多く、越冬のため防寒対策が求められたことが挙げられる。平均寿命も30-40歳ほどでもあった

 

世界史を勉強している頃に知っていたら、楽しんで覚えられそうな豆知識が各所から飛んでいた。参加者の質問も鋭いし、それに回答できる主催者もすごい。

 

次に提供されたのは、「たらの蒸し煮マスタードソース添え」。

 

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たらをワインで煮込んでいる、これだけで気になるし実際、身が柔らかく美味。

何もつけないと味が薄めであることから、マスタードソースを和えていただく。これも特別、味が濃いわけではなく、そういう意味でも当時は塩がそもそも高価だったんだろうなと思ったり。

 

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「スペルト小麦のパスタ香草風味」

なかなか変わった料理だった。

 

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パスタ、とは言うもののフライパンで炒める工程を通ってきていることから、焼きそばに似た食感があるし、でもパスタを思わせるモチモチとした食感でもある。

見た目ほど味が濃くないのも、ひとつの特徴かもしれない。

 

 

ちなみに会場到着時に出迎えてくれた豚の頭、これもベーコンとしていただきました。

 

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さすがに日本の調理器具だと丸々焼くのは苦労されたそう。

後頭部のあたりと、頬を切り取っていただきました。

とても美味しかったのだけれど、いかんせん脂身が多かったために皆さん積極的ではない印象でした。

念のため、閲覧注意。

 

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ところで今回のドリンクとして、「ポーランドミード」と言う蜂蜜酒がありました。

 

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右側。

お湯で希釈していたのですが、なかなかアルコール強め。

雰囲気としては、梅酒に似た香りや味といえば想像しやすいと思います。

そのほか、フルーツワインやハーブウォーター。

 

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フルーツウォーターは見た目からして綺麗、キッチンスタジオが日差しがうまく入り込む構造でもあったために外観だけで楽しめました。

 

 

 

デザートとして、チーズケーキと洋梨の赤ワイン煮。

 

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チーズケーキは前日に作ったものと、本日作ったものの2種類を提供いただきました。

左が本日、右が前日作られたもの。

前日に作ったもの:ホロホロとして甘みが強め

本日作ったもの:あたたかく柔らかいが、甘さ控えめ

食感なら本日のもの、味ならば前日に作ったものが個人的な好みでした。

 

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洋梨の赤ワイン煮。

洋梨はこれほどまでに柔らかくなるのか、と言うほどに普段食べているものと食感が違いました。口に含むと赤ワインの風味があり、不思議な味わいでした。

 

そして最後に、「ラムズ・ウール」というドリンク。

 

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アップルタイザーを煮詰め、これまた煮込んだリンゴを加えたところに生クリームを入れたもの。

ホットミルクのようにも感じるし、カザフスタンアフガニスタン料理で飲んだ馬乳酒のような酸味もある。リンゴを使っているだけあって、飲みやすい味でした。

 

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約3時間かけて、小話を聞きながら楽しむ食事会。

帰る頃には満腹感とともに、疲労感もありました。濃密な時間だった。

今回のクリスマス料理に留まらず、来年の秋先まで各国の歴史料理会は予定されているとのことで、次回も参加してみたい。