そして今日の締め、Bar Spiritsへ。
新橋の飲み屋街、ビルの合間に隠れたバー。
一杯目はモヒート。
おすすめされていた、スイカのソルティドッグ。
葉巻は、例の新藤晴一氏が5週に渡って対談連載をしているので、ぜったいに影響されるとは思っていた。
彼を真似て始めたことは数知れず。
ここのマスターはブログもやっていたので、マナーとか、飲み合わせを調べてから臨んだ。
ここで重大なことに気付く。
吸い方がわからない…。
マスターは、
「煙を舌で感じながら、遠くに吹くのではなく、周りに漂わすように」
と教えてくれた。
いや、まず、私は非喫煙者だった。
むしろ嫌煙者だった。
これがミーハーの痛ましいところである。
とりあえず、言われた通りにやってみる。
(舌で感じる…?)
咥えたそばから、煙が逃げてゆく。
バーカウンターの向こうまで、煙が逃げてゆく…。
葉巻は、タバコと違って肺には吸い込まないらしい。
ならば!と口の中に留めてみる。
が、次は鼻へ煙がまわり、噎せ返るような痛みに襲われる…。
だいたい、タバコは10〜20分もあれば燃え尽きるし、仮に合わなければ、やっぱいいや、と捨てられる手軽さがある。(価格的にも)
しかし葉巻は吸い方次第で、1時間以上かけて愉しむもの(らしい)。
先端に残る灰を見ながら、長い闘いが始まったと思った…。
このときにいたのは、常連と思しき、男性二人組。
目の前には、3台あるスクリーンにうつる映画。
彼らと違い、話し相手のいない私は、会話を盗み聞きしたり、コメディのクラシックみたいなアメリカ映画を観たり、ちびちびとモヒートを口に含みながら、時間を過ごす。
…いっこうに、燃え尽きる気配がない…。
そうしているうちに、映画は終わってしまった。
次に始まったのは、燃えよ!ピンポンだった。
…マスターはコメディ好きなのか?
また原文が気になる字幕が表示されている。
店内の雰囲気も、BGMも、マスターの佇まいも良いだけに、映画のチョイスが気になって仕方がなかった。
ようやく2/3、吸い終えたところで二杯目をオーダー。
確かに、スイカは塩をかけると美味しいと言うし、氷の代わりに、凍ったスイカを使っているのもオシャレだなあなんて思いながら、1/3を吸う。
もうこのあたりで、酒か煙か雰囲気かに酔い始めていて、それなりに吸い方もサマになっていた。
映画のトンデモ展開にニヤつきながら、持ち手が熱くなってきた葉巻の終焉を待つ。
氷代わりのスイカは、まだ冷たかった。
こうして、私は葉巻デビューを飾った。
思えば、以前、タバコを試したこともあった。
誕生日祝いに友人がくれたが、口に残る残り香がどうしてもだめで、続かなかった。
それに比べたら、葉巻は嫌な後味がないな、そのあたり、高級なんだろうな…
そう納得しながら、土曜日も賑わう夜の新橋から、帰路についた。